今朝、ユキ姉さんのことを思い出した。ご存命か分かんないけど、もし生きていればそろそろ100歳に近いかな。以前姉さんが、東京大空襲のときのことを話してくれたんだ。自宅が燃え始めて逃げる時、咄嗟に蛇口をひねって逃げたんだって。自分でもなぜそういう行動とったのかわからないらしい。家に戻ってきた時、あたり一面焼け野原だったけれども、蛇口の下にあった梅干の瓶と味噌の瓶が無事だったんだって。その能力欲しいなぁと思った。最強じゃん。

私は姉さんに、梅干しと味噌は大切に食べたのかと聞いたんだ。そしたらさ、「そ〜んなの、みんなで分けちゃったよ!」だって。あの時は完全に人事の話しとして聞いていたんだけど…私自信ないよ。自分の命が1週間後にあるかわからない状況の中で、梅干しや味噌を分けられる自信がない。(姉さんも誰に分けたんだかはわかんないけど)そういうシーンが起きませんように。そして自分が、人のものを奪ったりしませんように。人に分けてあげられる状況ではあって欲しいけど、そうでなかった自分を罰して苦しめて生きていくのも、それは違うぜと言ってあげたい。

だからさ、姉さんの、なぜだかわかんないけど蛇口をひねちゃったって言うその能力があればいいわけじゃない。すべての人に。最強じゃん。その能力がどうやって培われるのかは知らないけど、きっと少なくとも、自身がパニックに陥っていたら発揮されないんだと思う。まず落ち着いて。深呼吸して。よくドラマとか漫画で、落ち着いてとか深呼吸してとか言っていて、あれは単にお決まり文句なんだと思っていたけど、本当に有効なのかもしれないな。